急に冬がやってきて、タンスの中を入れ替える時期になりました。
・・・ということで本日は裏方の衣類の話。
舞台仕事をする裏方には、着るモノにおいても暗黙の決まり事みたいなものが存在します。
まず「ステージでは決して目立っちゃいけない」。
色でいうなら黒やグレーのシャツなど、ものすご〜く地味なもの。
現場経験の少ないバイトさんだと
「コンサートだ、ちょっと目立ってやれ」な〜んて思っちゃうのか
ドハデ色のシャツとか柄物を着てくることがあるんです。。
ま、いいんだけどね。。。
でもそういう人はお客さんの目に触れない超裏手でケーブルまわしなど
人目に触れないドロドロ仕事がまわったりしますぜ
ちなみに、濡れたり埃まみれになる仕事です。着替えは用意してのぞみましょうね。。。
また上半身が地味でも、反射板つきのスニーカーなんか困るのよね〜
舞台転換の暗転中に、誰かのシューズが妙に光って目立ったことがありました。
なのに本人「キミの靴、派手だね〜って言われたちゃった♪」ってうれしそうだったりする。。
・・・それ褒めてないんだからね。苦情なのを気がついて欲しいな〜
服装については
ある程度大きなイベントだったら、お客さんと識別するためにたいてい支給品があります。
(普通の単発ものは無理かも。このへんは、空気を読むしかない。)
こういうのも時代の影響ってのが大きくて、
バブル期あたりだとスポンサー提供の高級商品が配られたりしたこともあったのだとか。
今だったら色だけ鮮やかなペナペナのナイロンジャンパーとか
ロゴをプリントしたTシャツってのが相場かな。
こういう支給品はたいていイベント後も返却する必要はありません。
つまり家に持って帰っちゃっていいのです。ラッキーね!?
ま、もらっても微妙すぎて他では着る気になれないものもあるし
2、3回洗濯したらべろべろ〜んになっちゃうものがほとんどですが
Tシャツなら部屋着として着るぶんには不自由ないです。
(そうなんです、私、ほとんどTシャツって買ったことないんじゃ・・ボソボソ)
冠スポンサーがいなくても、ある程度の回数をやるツアーとか
大人数が動くイベントになると、特注シャツくらいは作るのが普通になりました。
ストーンズでしたっけ。
彼らが来日したころから「物販収入」の重要さが日本のコンサート業界にも定着したのだそうです。
なので表で数千円で売られるものと同じ場合もあるけど、
裏方用には色違いとか「STAFF」の文字入りで別のものを用意されるケースも多い。
このスタッフ用シャツは、それなりに価値があると思う人もいて
ときにはオークションにでることもあるけれど、これって裏方にはひとつの勲章ですからね・。
背中に日程がプリントされているような古いやつを別の現場に着ていけば
おお、あの人は○○の海外ツアーにも行ったんだ・・・なんて憧憬の目だわよ〜
こんな独特の衣装空間なもので
機材メーカーでは競って?シャツやジャケットのノベルティをつくります。
背中に英字や見かけないロゴがはいった上着なんかありますよね
あれって基本的に非売品で、
機材を買った人とかメーカー製品発表会に行くともらえるお土産だったりするんです。
(ハイ、このお土産ほしさに参加する人多いです)
でもこれ、メーカーの宣伝に1役かうためというより
それを着ていると打ち合わせ相手に「スタッフなんだ」って認めてもらえるという効能もあります。
にじみ出る貫禄が足らない女性などの場合、
こういう看板?があると、やりとりが若干スムーズになるのは気のせいばかりじゃあないのです。
※ノベルティ写真の公開?地方社会においては身元判定の恐れありのため自粛で〜す。風景風景。。
夏の野外会場になるとスタッフの服装は短パン率がぐっと上がってきます。
これも不文律なのかな〜?日光浴のかわりなのか?
露出が多いと怪我の元だし、ちゃんと長いパンツスタイルのほうがいいよっ
・・・というのは日光嫌いの私の独り言です。気にしないでね。
とはいえ「安全であること」も現場仕事にはとても重要なことでもあります。
高いイントレによじ登ることだってあるし、足許の見えない暗がりで作業することもある。
電気を扱うから感電することだってある。(含・自分)
舞台道具に挟まれたり、落下したり、思いがけない大きな事故だっておこる
・・・でもこういう事故があったことは、一般ニュースにはまず出ない。
(広報や報道担当のしっかりした大イベントはとくにね。。)
カメラ映像にうつらない陰の、たくさんの血と汗と痛み。。
これはけっしてイメージだけの世界の話ではありません。
学生さんなどがバイトで参加してくれることもあるのだけど、
それが簡単なお手伝いな場合でも、素手ってのはなにかと危険があります。
せめて軍手、できたらフィットした革手袋を用意しましょう。
靴も見た目より履き心地。
暗がりで機材にぶつかって、踵をカバーした靴のおかげで助かったこともあり。。
ヘアスタイルもロングOKだけど、現場では結ぶかまとめるのが事故回避の方法なんだわ。
(あの、私、小姑みたいですか)
裏方は空気のような存在。
人はもちろん機械も舞台装置だって同じ。
それはその存在すら、みるものに意識させないのがより素晴らしいとされる世界。
スポットの当たる出演者本人を喰うような豪華過ぎるセットはダメだし
音響といっても、立派なスピーカーシステムが主役じゃない。
「気がついたらアーティストの世界にどっぷりとハマっていた」という
アーティストと観客の、1対1の関係をサポートする仲人でしかありません。
気配を殺し、音をたてずに移動できる忍者の素質も求められてますな。
怪しいのはまぁ職業病ということで。。。